あさことりの日記

8歳と0歳の育児中。

子供のテレビ依存を防ぐために漫画を買い与えようと決意した

 最近、この本を読みました。

子どものテレビ依存を防ぐ方法について考える切っ掛けとなりました。

母を捨てるということ

母を捨てるということ

 

『母を捨てるということ』

医師であるおおたわ史絵さんと、薬物依存のお母様との生活が赤裸々に描かれています。

 

■依存症になる条件とは

著者のお母様が過剰に使用していたのは「オピオイド」という合法の処方薬物なのですが、著者は薬物依存が起こる条件として下記の3つを挙げています。

 

 ・容易に入手できる環境にある(医師の知り合いがいる)

 ・使用できる手技テクニックがある(注射器が使える)

 ・使用を禁ずるべき明確な理由がない(使用後直ちに体調が悪くなるわけではない)

 

これ、薬物依存だけではなく、あらゆる依存においても同様にあてはまります。

 

たとえば、私たちのスマホ依存。

 

 ・容易に入手できる環境にある(いつもそばにスマホがある)

 ・使用できる手技テクニックがある(簡単に操作できる)

 ・使用を禁ずるべき明確な理由がない(悪影響が直ちに顕在化するわけではない)

 

だから、とても依存しやすいといえます。

 

子どものテレビ依存も同様。

 

 ・容易に入手できる環境にある(リビングにテレビがある)

 ・使用できる手技テクニックがある(リモコン操作も覚えた)

 ・使用を禁ずるべき明確な理由がない(直ちに目が悪くなるわけではない)

 

これも、依存症になる条件は揃っています。

親がテレビを捨てることで、テレビ依存は物理的になくなるとは思いますが、自分が大好きなものを捨てられるのは子供心に傷がつきそうだし、荒治療なので極力したくありません。

では、依存症の3つの条件が揃っている中で、どうすれば子どものテレビ依存を防げるのでしょうか。

 

■テレビを取り上げるのではなく、必要なものを与える

著者は、依存症に対する考察として、

多くの依存症患者が”楽しいから、気持ちいいから”ではなく、”つらさや苦しさを緩和するため”のセルフメディケーション=自己治療の目的で薬物を使ってしまう

(中略)

依存症は個人の問題というよりも社会全体の問題だとわかってくる。社会に温かさや愛情や楽しさがないと、人間は生きにくくなる。だからその生きにくさを取り払わなければ、そういう方向に社会が変わらなければ、依存症もなくならないと言い換えることができる。

と述べています。

そっか、テレビもただ単純に”楽しいから”見ているのではないかもしれないな。

退屈で、何をしたら良いかわからないから?

学校で嫌なことがあって気持ちを紛らわせたいから?

いろいろな理由が考えられそうです。その原因を考えずして、「テレビを見るのをやめなさい」と奪うのは、根本的な解決にはならないのかも。

 

本の中では、これを解決する方法を示すおもしろい実験が紹介されていました。

「ネズミの楽園」といわれる実験で、1978年にブルース・K・アレキサンダーが発表しています。

オスのネズミを、植民地ネズミと楽園ネズミにわけます。

植民地ネズミは、何もない冷たい金網のケージの中に1匹ずつ入れられます。

楽園ネズミは、メスのネズミと一緒に広々としたケージに入れられます。そこは、ウッドチップが敷かれた温かい環境。遊ぶ道具もある。チーズもある。まさに楽園です。

植民地ネズミと楽園ネズミには、普通の水とモルヒネ入りの水が両方用意されていて、どちらでも自由に飲むことができるようになっています。

植民地ネズミは、モルヒネ水を好んで飲み、1日中酩酊状態で過ごすようになりました。

一方、楽園ネズミは、ほとんどのネズミが普通の水を飲み、モルヒネ水の減り方は

植民地ネズミの20分の1でした。

この実験でわかることは、依存症の3つの条件(容易に入手できる環境にある、使用できる手技テクニックがある、使用を禁ずるべき明確な理由がない)が揃っていても、周囲の環境次第で依存症になることを防げる、ということです。

これを子供とテレビに置き換えます。子供にとって容易にアクセスできるところに常にテレビがあり、親から視聴時間の厳しい制限をされなくても、精神的に満たされていて、他に興味のあることがたくさんある環境であれば、子供はそれほどテレビにばかり時間を費やさないのかもしれません。

 

そこで、テレビの視聴時間についてはあまり厳しく言わないことにして、その代替となる楽しいことを提案し続けたいなと思いました。

 

■子どもが大好きな漫画でテレビから目を逸らさせる

代替となる楽しいことの一例が、漫画。

よく「漫画ばっかり読んでないで勉強しなさい」というセリフがアニメ等に出てきますが、テレビやゲームが大好きな現代っ子には、漫画を大いに許容、もっというと推奨するべきなのではないかと思います。

画面を見るもの(テレビ・ゲーム・スマホ)は、どうしても受動的になりがちですが、漫画を読むという行為はある程度は能動的な態度を要します。大人も、疲れている時にぼーっとテレビを視聴する(又はスマホを眺める)ことはできますが、本を読もうとすると一瞬で眠くなったりしますよね。それだけ、「読む」という行為はエネルギーを使う行為なわけです。漫画は絵がメインであるため、受動的に眺めることも可能ですが、ストーリーを理解するためには文字を読んで頭の中で映像化する作業が必須となるため、やはりある程度は能動的な作業かと思います。

また、将来の読書習慣を形成するためにも、漫画は有効だと思います。本を全く読まないのか、漫画なら読むのか、というのはゼロとイチの差だからです。漫画から、一般的な本に移行していってくれたらいいなと思います。

 

漫画だけではなく、他の遊びや活動にも積極的に子供を誘うようにしています。料理を手伝ってもらったり、一緒にスポーツをしたり。

「テレビを見るのをやめなさい」ではなく、「一緒にこれをやろうよ」と声かけをするのが、結果的にテレビ依存を防ぐことにつながるのではないでしょうか。