夫の発達障害を疑い自分がカサンドラじゃないかと考えた話
結婚して10年目。年の離れた子どもがふたり。
傍から見れば、何の問題もない夫婦に見えていると思う。
でも、私はずーっと、ぼんやりした違和感を覚えています。
うちの夫、もしかして発達障害なんじゃないか??
そう思う理由は省きます。(愚痴っぽくなるので)
私は夫との離婚を考えていないし、できるなら今の夫と生涯幸せに暮らしたいと思っているので、夫の特性と上手に付き合っていく方法を模索するためにいくつかの本を読むことにしました。
■1冊目:『私の夫は発達障害?』真行結子著
著者自身、発達障害特性のある夫と20数年間の結婚生活を送り、離婚を経験されています。現在は、支援団体フルリールを立ち上げ、カサンドラ症候群の女性をサポートする活動をされているとのこと。著者自身と、フルリールに相談に来た人の経験談が中心で、非常に興味深く読めました。
カサンドラ症候群とは?
カサンドラ症候群という言葉を初めて知りました。
この本では、カサンドラ症候群をこのように説明しています。
発達障害特性が見られる夫を持ち、その障害特性に翻弄されて身体的・精神的にダメージを受けている妻たちの症状を、「カサンドラ症候群」と言います。(P2より引用)
「カサンドラ症候群」とは、ギリシャ神話の神アポロンに、予知能力を周囲に信じてもらえない呪いをかけられた女性、カサンドラの名前に由来しています。
発達障害のあるパートナーの特性(情緒的関係が築けない等)が、パートナー関係や家庭生活に影響を与えて生じる、うつ、無気力、不眠、パニック障害、自尊感情低下などの身体的・精神的症状を指し、そのことが周囲に理解してもらいにくいことから、このように例えられています。(P15より引用)
”妻たちの症状”としているので、カサンドラ症候群は女性に特有なの?と思いましたが、”夫たちの症状”として置き換えることもできるようです。
発達障害のうち、アスペルガー症候群は男女比で8:1と男性が多いため、そのパートナーに起こるカサンドラ症候群には女性が多いと言えます。
本書での発達障害の分類
カサンドラ症候群が、発達障害の夫により引き起こされることがわかりましたが、発達障害とは具体的にどういったもののことを言うのか、本書では3つの障害を挙げています。
社会コミュニケーションの障害、限定された興味。
不注意、多動性、衝動性。
・限局性学習症(LD)
読み書きや話す能力、計算能力などに困難。
発達障害には診断基準があり、診断されるには当然ですが受診が必要です。
が、自分自身が発達障害だと思っていない夫を「精神科に行こう」と誘うことは非常に難しいと思います。(私にその勇気はありません)
それに、医師に診てもらったところで、発達障害と診断されず、それに近い状態であると曖昧に言われるケースもあるそうです。
そういった場合でも、夫に”発達障害のような特性”が見られ、それによって妻がダメージを受けていれば、カサンドラ症候群として取り扱う、と筆者は言っています。
発達障害特性をもつ夫とうまくやっていくには
夫が発達障害特性を持っていても、妻がカサンドラ症候群にならないようにするには。
別居や離婚という選択肢もありますが、できるなら避けたい。
そこで筆者が提案するのは、自分自身の幸福度を上げる努力をすること、です。
気持ちに余裕がないときや消耗しているとき、人は否定的な要素に目を向ける思考に陥りがちです。人のいやなところばかりが目につくときは、疲れがたまっている「サイン」と受け止めて、まずは休息することが必要かもしれません。(中略)夫婦関係のみならず、人生に対する満足度や幸福度が高い人は、得ていないものではなく、手にしているものに目を向けている傾向があると感じます。(P35より引用)
この記述にしっくりきました。私が夫にイラッとする時、たいてい自分の人生(の、夫婦関係以外のところ)に対して不満を持っている時です。「こんなに嫌な気持ちなのは夫のせいだ」と自分の不幸を夫のせいにし、「幸せにしてくれない」と自分の幸福を夫に依存している状態なのだと思います。
だから、夫と全く関係のないところで幸福度を高める努力をすることが大切です。
他にも、発達障害の夫と良い関係を保つためにできることとして、下記が挙げられていました。参考にしたいです。
・夫婦共通の趣味をもつ。
→理想的な夫婦と同様の”分かち合い”は難しい。だから、1つだけでも共通の趣味を作る。(月1回一緒に美術館に行く等)
・人間関係を広げる。
→人間関係を夫だけに依存していると、多くを期待してしまい、苦しくなる。夫以外の人と楽しい時間を過ごせれば、夫への不満も起きにくくなる。
・事実と要望を具体的に伝える。
→「体調悪いから夕食作れないの(事実)。コンビニで野菜サンドイッチ買ってきてほしい(要望)。」等。
■2冊目:『発達障害チェックノート』福西勇夫著
1冊目とは違い、「自分は発達障害なんじゃないか?」と疑っている人に向けて書かれています。
本書での発達障害の分類
こちらの本では、代表する発達障害を2つ挙げていました。
常同性、対人的コミュニケーションが苦手、感覚過敏や感覚麻痺。
・注意欠如多動性障害
注意欠如や注意散漫、多動性や衝動性。
他にも、学習障害(LD)、知的障害、コミュニケーション障害、運動障害などがあると言っています。
自分や夫が発達障害だと思ったら
病院を受診しても、発達障害の診断は専門医でも難しい場合があるようです。なので、発達障害の診断がつくかどうかはそれほど重要ではありません。自分や夫の性格、性質がどのような傾向にあるのか、というのを正確に把握することの方が重要です。
傾向がわかれば、何に向いているのかということもわかってくる。性格、性質に向いていることをすれば、発達障害の有無に関係なく、ストレスの少ない生活ができるかと思います。